萬物生天地

日本人は二千年近く前から相撲を取り始めた。

土俵に神様をお招きして国家の繁栄を願う儀式は、今も変わらず執り行われている。

相撲の所作は神前で心身を浄めるものであるし、四股は地中の邪気を踏みつけ、豊穣を願うのである。

立ち合いで頭と頭がぶつかる瞬間、自らが日本人である事を強烈に自覚する。

そのとき永い歴史の中で連綿と受け継がれて来た記憶が、私達の中に確かに存在することに気付くのだ。

私は相撲を描く事で、日本の根底にある普遍的な精神を皆さんにお伝えしたいと思っている。

日本人がその土地を愛し、育んできた記憶。また今、土地に生きる人々の心情を絵に込めてみたい。

豊かな大地、四季の風情が私達の心身を育てている。

万物は天地(あめつち)からの恩恵のもとにある。